■ハチ
- 種 類 -
アシナガバチ類
民家の軒先やベランダ、庭木などに傘状の巣をつくります。六角形をした育房(幼虫を育てる穴)は下から見えます。ハチは全体的にほっそりとした感じがします。アシナガバチ類は幼虫の食物として各種の昆虫、庭木や農作物につく芋虫・毛虫を食べる益虫であり、普段は人に対する攻撃性は殆どありません。しかし、巣を突いたり、巣のついた枝を振動させる等の刺激を与えると、攻撃されることがあります。巣があることに気づかず、うっかり近づきすぎて刺されるといったケースも多いです。一家屋に何カ所も巣をつくっていることがあるので、注意が必要です。
セグロアシナガバチ
体長 21~26mm
威嚇性、攻撃性ともにやや強い
セグロアシナガバチの巣
フタモンアシナガバチ
体長 14~18mm
攻撃性は強くない
フタモンアシナガバチの巣
スズメバチ類
天井裏、軒下、庭木や土中等に巣をつくります。巣は一般的にボール状をしており、育房は外被に覆われているので見えません。スズメバチ類は、幼虫の食物としてチョウ、ガ、セミ、他のハチといった昆虫類を餌とします。また、樹液や熟した果物、行楽地の飲み残しの缶ジュースにも集まります。攻撃性が強く、アシナガバチ類よりも毒性が強いので刺されると危険です。
いずれの種類も越冬した女王が 4~ 6月頃より単独で巣をつくり始めます。 6~9月にかけて巣が大きくなり、9月上~中旬頃に最大となります。この時期、新女王や雄バチが出現するようになります。この頃になると、餌となる昆虫類が不足するため性格も攻撃的になり、ちょっとした刺激で人を襲うようになります。その後は、巣の外で交尾をした新女王だけが生き残って土中や朽木の中で越冬し、翌春また 1匹から巣づくりが始まります。その年の働き蜂や雄バチはみんな死んでしまい、翌年 1匹の新女王から始まるので、その巣は一代限りで空になります。アシナガバチ類もほぼ似たような一生を送ります。
オオスズメバチ
働き蜂の体長
27~40mm
最も大型で非常に攻撃的。主に土中に営巣します。
キイロスズメバチ
働き蜂の体長
17~24mm
攻撃性は強く、民家の軒先・庭木・天井裏等に営巣します。
オオスズメバチの巣
(土中より)
キイロスズメバチの巣
(戸袋の中)
コガタスズメバチ
働き蜂の体長
22~28mm
攻撃性は強くありませんが、巣を刺激すると攻撃されます。民家の軒先・庭木等に営巣します。
コガタスズメバチの巣
ミツバチ類
我が国にはニホンミツバチとセイヨウミツバチの 2種のミツバチがいます。家屋内に営巣した場合、天井等から蜜がたれてきて汚す場合があり、また、蜜を狙ってネズミやゴキブリが進入してくることがあります。
ミツバチの巣はアシナガバチ類やスズメバチ類と違って、一年経てば空になるというわけではなく、分蜂(※1)を繰り返し、数年にわたって継続します。4月頃、庭先などでハチがかたまりになっていることがありますが、分蜂の時期なので新しい営巣場所を見つけるために、一時的に集合しているだけかもしれません。そっとしておけば、その内飛び去ることが多いです。
※1 分蜂… 4月頃に新女王が生まれた後、旧女王(母バチ)が新しい営巣場所を求めて
約半数の働き蜂と共に飛び去る、巣分かれの現象。
ニホンミツバチ
働き蜂の体長
12mm前後
セイヨウミツバチはニホンミツバチより黄色っぽく見えます。
ニホンミツバチの巣
- 被 害 と 対 策 -
ハチ類は、尾端に毒針を持っています。アシナガバチ類ですと、刺されると大抵の人は痛み・腫れ・かゆみだけで数日後には回復しますが、過去にアシナガバチやスズメバチに刺された体験をもち、アレルギー体質となっている人は、血圧低下や発疹、吐き気などの全身症状を呈し、重症の場合、死亡することもあります。特に、スズメバチは、アシナガバチより数倍強い毒性を持っており、ハチ毒アレルギーになった場合ショック死することもあり、スズメバチを主としたハチによる死者は毎年 30名前後になっています。
アシナガバチ類は、巣も比較的小さく、スズメバチ類ほどは攻撃性も強くないのですがベランダの軒や室外機の中、あるいは窓の庇や窓枠の下の部分などにも好んで巣をつくるので、巣があることに気づかずにうっかり近づきすぎて、刺されるといったケースが多いです。一家屋に何カ所も巣をつくっていることも多いので、注意しましょう。
スズメバチ類など攻撃性の強いハチは、巣の場所や規模等によって対応が異なるので誤った処理をすれば大変危険です。専門的知識・技術が必要となるので、むやみに巣に近づかないようにし、専門家に依頼して下さい。