■ゴキブリ
ゴキブリは熱帯地方を中心に、世界で約 3,500種が現在知られており日本には約 50種が分布すると言われています。その多くが野外に生息し、私たちの生活とは直接的には関係がありません。住居内で一般的に問題となるのは、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリなどです。
- 生 態 -
ゴキブリは夜行性で、日中は隙間等に群れて潜んでいます。
家屋内では、電気冷蔵庫やテレビの裏側などの暖かいところ、台所や調理場周辺の水や食物のあるところ、湯沸かし場や風呂場等の高温多湿なところに好んで隠れています。糞には集合フェロモンと呼ばれる化学物質が含まれ、掃除をしないで放置しておくと新たなゴキブリを誘引することになります。また、隅に沿って歩き回る習性があります。雑食性で、人間の食べる物なら殆ど何でも食べます。餌が不足すると、書籍の表紙の糊や糞便などの汚物も餌とします。
- 種 類 -
チャバネゴキブリ
体長 11~15mm、黄褐色の小型種で前胸背板に一対の縦の黒状紋があります。全国各地の飲食店やビル、病院、マンションなどに生息しています。雌は卵鞘(卵の入ったバッグのようなもの)を尾端に保持して歩き回り、適度に暖かく、潜み場所に適した隙間に産み落とします。中には 30~40個の卵が入っており、孵化した幼虫は約 60日で成虫になります。成虫は適温と言われる 25℃で 3~4ヶ月間生存し、その間約 5回産卵します。
クロゴキブリ
体長 30~40mm、黒褐色で強い光沢があります。幼虫は翅がなく、赤褐色をしています。本州を中心に分布し、一般家屋、飲食店などに生息しています。卵鞘を押入の隅や台所の引き出しの中などに産み付けます。卵鞘の中には20~30個の卵が入っており、幼虫は半年から約 1年をかけて成虫になります。成虫の寿命は約半年で25℃下では平均 20回産卵します。
ワモンゴキブリ
体長 30~45mm、褐色の大型種で、前胸背板には 1対の環状紋があります。小笠原諸島、琉球列島から九州、四国、本州まで分布を広げ、北海道でも発見されました。近年は、全国大都市のビル地下街や飲食店、団地などに生息しています。
トビイロゴキブリ
体長 30~40mm、褐色の大型種で、ワモンゴキブリに似ていますが、前胸背板は前縁を除いて全面的に淡褐色を呈します。分布域は、九州、四国から本州で、大都市のビル地下街、飲食店などに生息しています。
- 被 害 と 対 策 -
被害
体表や糞といった体内外から複数の食中毒菌等が発見されており、それらをばらまく他糞そのものがアレルギー症状の原因となることがあります。
また、見た目から人々に不快感を与え、食品工場や飲食店では商品への混入、店のイメージダウンに繋がる等、経済的な損失を与える害虫となります。
防除対策
ゴキブリの生息条件は、餌や水があり、年間を通じて寒暖の変化が小さく温暖で、隠れ場所となるような適度な隙間があることが考えられます。防除を行う時は、これらの条件を念頭におきながら対策を行うことが重要です。
1.殺虫剤や毒餌(※1)など薬剤を使う方法
上記の条件の揃った場所に施工します。つまり、台所の棚の中や冷蔵庫の裏、トイレの隅や収納棚、風呂場の脱衣場や洗濯機付近等です。ここにエアゾール剤を吹き付けたり、毒餌を置くと効果があります。
※1 ベイト法… 殺虫成分のある餌をゴキブリに食べさせて駆除する方法で、最近は固形やジェル状等、様々なタイプの殺虫成分を含んだベイト剤がでてきています。
2.粘着トラップを使う方法
上記の条件の揃った場所に施工します。但し、トラップの駆除効率は殺虫剤を用いた時と比べてそれほど大きくないので、あくまで補助的に使います。